1956年生まれ、山形市在住。市民出資の映画館、フォーラムの 第1号社員として上映企画や営業に従事し、山形県映画センターでは映画館のない地域での上映企画や配給活動を20年以上にわたり行う。89年の第1回の立ち上げから関わった山形国際ドキュメンタリー映画祭では2007年から事務局長、18年から理事兼プロジェ クト・マネージャーを務める。プロデュースした映画作品に『よみがえりのレシピ』『無音の叫び声』『世界一と言われた映画館』『丸八やたら漬 komian 』などがある。
コメント
懐かしい風景から、この映画が始まりました。紅花の種を蒔き、育て、花を摘み、また種を採る。手から手へと託される美しい巡りに、ため息しかこぼれません。紅花を守る人々の尊い仕事に、心からの敬意を表します。
紅花が長い歴史のなかでどれだけの人の心をあたため、暮らしに彩りを添えてくれたのか。その美しさになぜ私たちは心癒されてきたのか、紅花と人との、大きな愛の流れに触れられた気がしました。それはとてもさっぱりとした、清々しい気分でした。私もそういう流れを作るひとりになりたいです。
(朝倉あき 高畑勲監督「かぐや姫の物語」主人公・かぐや姫役の声優で参加)
「おもひでぽろぽろ」から30年余。紅花と聞くと、いまだに心が騒ぎます。今井美樹さん、お元気そうですね。
人々がなぜ紅花に魅了されるのか、 あの美しい紅の虜になるのか。 紅花を守り、その歴史を紡ぎ続ける方々のまっすぐな姿が それを教えてくれます。
悠久からの紅花に魅了された人達が、魂を込めて取組む姿。紅花の深い色合いへの想いに等身大で重なる人達の繋がり。
そこから生まれる、その温もりと呼吸からの生き様を感じ取れて魅了される。
ドキュメンタリー映画で有りながら、繋がってる人達の奥底からの声が画面一杯に溢れたドラマに、少しずつ心動かされて感動した。
全世界の人に観て欲しい映画です。
ナイル川からシルクロードを伝って日本に渡ってきた紅花、今こうして私たちの手に入るまでの長い歴史、それを支えてきた人々の凄まじい努力。花に語りかける片桐いささんの言葉に出だしから涙が出る。紅花作りは演劇を作る仕事にとても似ている。
人々の一瞬の幸せのために、生涯をかけてコツコツと作業する。ただただ美しいものを手にいれるために。戦争はやめよう!
本当に美しい映画だ。
紅花の長襦袢を惚れて、着物が好きになった35年超えています。この赤より美しい赤がないと思っている私です。しかしこれは化学染料ではなく、珍しく鮮やかなきさき染です!この映画で山形の紅花農家の生活、紅花の研究者、と素晴らしい紅花染の青木さんと新田さんに出会います。そしてかつての山形、大阪、京都と奈良の関係が紅花との関わりが明らかになります。
映画が終わりと、もっともっと見たい、着ていきたい素晴らしい染、紅花になります。
花摘み体験をする子供たちが「痛い」と指先を引っ込める仕草に、冒頭に登場された片桐いささんの、なんてことなく花に触れる素手を思い出し、映画の中で再び驚きました。
生き物としての紅花と代々暮らしてきた人たち、紅の放つ色に魅了され新たに受け継ぐ人たち、ただ美しいだけではない、労苦を伴いながら愛でる手つきの連続に、途絶えない文化の奥底にあるものを見せてもらいました。
絶滅してゆく紅花を、人生を捧げて守ってきた人々。新たに守り始めた人々。カメラは静かに彼らを見つめる。この映画を見るまで知らなかった大事なことがたくさんある。守人たちの誠実で熱い想いが人間の文化を紡いでゆく。この貴重な記録は、いま見ておくべきだ。
帰るたびに変わってしまっている山形がある。けどもいつまでも変わらない山形もある。
それは誰かが一生懸命守ってくれているからなんだね。そして守ってくれる人達はみんな笑顔なんだね。
知らなかった。私、山形県人なのに。紅花の深い深いものがたり。紅花が、紅花に携わる方々が、人間が、尊く、うつくしく、映っております。
初夏に出回る鮮やかなオレンジ色が愛しく、花屋なら誰も手にしたことがある紅花。
そんな私達が知りえなかった秘められた歴史が、紅花を愛し関わり続ける人たちの言葉から丁寧に紐解かれていました。
“紅”の色の本当の意味を知れたことは、一生の財産になりました。
大学生の時に初めて手にした、紅花から生まれた本物の口紅の色の美しさに感動したことを、今でも鮮明に覚えています。一度見たら、脳裏に焼きつき離れない、美しい紅の色。
伝統は守ろうと思って守られるものではなく、人を惚れさせる魅力があるからこそ、試行錯誤され次世代につながる。
紅花に魅了され、恋焦がれ、人生を捧ぐ人々の素朴な言葉から、あなたは何を感じるのでしょうか。
妖艶な紅。これほどまで人を魅了した色は他にはないのでしょう。この紅を出すためになんと長い道のりを経なければならない…。それでも、古来からの製法を残し実践している人々がいるというのは奇跡としか思えない。
10年以上前、山形県河北町の紅花資料館に展示されている紅花染めの着物を見て、その鮮やかな色に心が沸き立ち、しばらく魅了されてしまったことがある。この映画は、古くからベニバナに熱烈な想いをよせる人が想像以上に多方面にいて、そのつながりによってベニバナが守り伝えられてきたことを教えてくれる。この映画がなかったら、山形の宝であるベニバナをとりまく全体像と人々の想いを知ることは永久にできなかったかもしれない。
植物は美しい。人はその美しさをそばにおくために様々な苦労をする。種まき、間引き、花振り、花餅づくり。すべてを手作業で行っていく。その姿を見ると、人の営みも紅花と同じくらい美しく感じる。
紅花にはトゲがあり、収穫する時にちくっと刺してほんの少しの抵抗をする。さらに、苦労してできた染料は、日にあたっただけで落ちてしまうという。簡単にはその美しさを譲らない。人と紅花の静かな攻防に魅せられた。
紅花は、口紅や着物、食など様々なかたちで古来女性を彩り、身体を温め、厄を払うなど重要な役割を果たしてきました。また万葉集をはじめ多くの文学のテーマとなっています。その文化を今の世に継承する人々を丁寧に取材し、紅花の力と神秘に迫る貴重なドキュメンタリー映画です。